不動産バブルの崩壊はやってくるのか?

2018/09/01

★首都圏投資用マンションの市場動向

2018年上期及び2017年の年間の投資用マンションの市場動向が㈱不動産経済研究所から発表された。2018年上期(1月~6月)に供給された首都圏の投資用マンションは93物件4623戸で、前年同期の60物件3222戸から物件数155%、戸数143.5%で大幅に増加した。

平均価格は3088万円(同2826万円)、㎡単価116.2万円(同111.9万円)とそれぞれ上昇している。供給エリアの上位5位は江東区640戸、板橋区443戸、新宿区439戸、川崎市中原区400戸、墨田区332戸。都区部は19区で前年同期の14区から5エリア増え、都下で2エリア、神奈川県9エリアとなっている。

不動産経済研究所は、今後の首都圏の投資用マンション市場に関して、「用地取得の競争激化によって都心中心の展開は難しい状態が続くが当面の供給は城東、城北などにエリアを拡大して安定的に推移する」と見込んでおり、さらに地価が高騰が続く中、低価格帯の住戸の供給がさらに減少することになれば、首都圏以外のエリアや中古市場へ今まで以上に人気が移る可能性もあると見ている。

★不動産バブルの崩壊?

さて不動産価格の上昇する中、ここ最近は「2020年以降、不動産価格や建築費が下がるのでは?」という質問をよく受ける。2020年と言えば「東京オリンピック・パラリンピック」が何かの区切りとなってるイメー

しかし現在の日本は、あの頃とは違い経済が大きい先進国へと変わった。また過去にオリンピックが開催された世界の不動産投資額ランキングで上位のロンドンは、どうであったろうか。イギリス政府は、ロンドンオリンピック開催後、不動産市場に与えた影響はなかったと公表している。同じくランキング上位にある東京も、オリンピック後はおそらく経済動向に大きな波もなく、不動産市場に至っては変化があったとしても選手村ができる中央区晴海周辺など一部に限られ、大きな変化はないだろうと推測される。

★建築費の高騰と建設業の就業者数の減少

オリンピック開催後にもう一つ懸念されてるのが「建築需要」。建築費は、2013年以降、20~30%上昇しており現在も下がる兆候がない。この建築費の高騰も2020年を区切りに行きづまり、価格変動に影響するのではないかという声も上がっているが、建築費の上昇は、2020年以降も上昇を続けるとみている。なぜなら、高齢化に伴い建設業の人出不足で、2018年時点ですでに多くの建設会社が2022~23年程度まで受注見込みを抱えており、オフィスビル同様にどの建設現場も工期の遅れが出ている現状にあるからだ。

 

下記にある経緯を参考にしてほしい。

 

・2008年、多くの建設業がリーマンショックの影響で資金繰りが悪くなり仕事が激減。

・2009年、政権交代で目指した「公共事業の削減」により、建設業者は大打撃を受け、廃業が相次ぐ。

・2011年、東日本大震災後、関東圏の建設職人の多くは復興のため東北に行き、関東圏の建設現場は関西圏から建設職人を集めるなど人材不足が加速。

・2012年、安倍政権が発足後、民主党政権の方針を転換して公共事業の拡大を宣言し、人手不足がさらに加速。

 

建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに、2017年には498万人と3割弱も減少。2020年にはさらに減少しているはずで、その傾向は今後もしばらく続くと見られる。建設業の就業者数の不足、リーマンショックやアベノミクスで人手が不足してきた経緯を見れば、「建築需要」について、五輪後を区切りに行きづまるというのは考えにくい。

さらに2019年10月には消費増税が予定されており、増税となればますます建築費はコストアップするだろう。これらを考えると今後、不動産バブルの崩壊で不動産価格が大幅に下落するという予測は難しいと言えるだろう。

 

不動産の価格を決めるのは、需要と供給のバランスだ。その土地や物件に対するニーズが高まれば、価格は上昇する。低金利でインフレではないのに不動産価格が上がるの理由としては、建築費の高騰だけではなく、こういった需要を押し上げている訪日外国人数の上昇も考えられ、様々な理由から不動産価格はまだまだ上昇傾向にあると言っていいだろう。

 

また投資不動産に至っては、価格が上がれば利回りが下がると懸念されそうだが、ここ最近は、不動産投資で求められる利回りが下がっている傾向にある。それは、多少利回りが下がっても安定性ある価値ある投資商品と見られているからではないだろうか。