【 マンション寿命 】ワンルーム投資に役立つマンション寿命の考え方

2019/12/18

 

鶴は千年、亀は万年。
長生きすることは人生100年時代といわれる現代社会においても非常に喜ばしいことです。
分譲マンションが世に出始めたのが1960年代後半。するとこの先築40年を超える物件が100万戸を超える状況になります。住むうえでもマンション経営をするうえでも、これから先のマンション寿命を考えてご自身に最適な不動産を選びましょう。

 

目次

-3つのポイント

 

耐用年数と政府調査からみるマンション寿命

 

ポイント

・RC造マンションの耐用年数は47年
・国交省報告書ではマンション寿命の平均が46年、建て替えは平均築37年
・国交省の別報告書ではマンション寿命150年

耐用年数とはモノが何年使えるのかを法的な観点から計算したものです。
RC造マンションの耐用年数は47年と決まっています。
これを根拠として「マンションの寿命は47年」といわれることがありますが、これは間違いです。
なぜなら、耐用年数はあくまで法的観点から「しか」見ていないからです。
また、国土交通省が2002年に作成した報告書ではマンションの平均寿命は46年、建て替え物件の着工時期は平均築37年といわれています。
しかしながら、これもマンションの寿命とは言えません。
なぜなら、国交省が出している統計に「取り壊しもなく建て替えもしていない現役のマンション」はカウントされていないからです。
現に国土交通省の別の報告書では、「マンション寿命はメンテナンス次第で150年」ともいわれています。
国の調べも法律上の規定も通用しない。
ではどうすれば「マンションの寿命」をより的確に捉えることができるのでしょうか?

 

物件構造からみるマンション寿命

先ほどの統計で建て替えや取り壊しとなったマンションのほとんどが築50年を迎える前に役目を終えていることが分かります。

なぜそんなに早いのか。

下のグラフを参考にポイントを3つにまとめてみました。

1

 

①配管設備が取り替えられない

建て替え・取り壊しの大きな要因の1つ目は配管設備が取り換えられない造りとなっていたということです。

配管設備の寿命はおよそ25~30年とされていますが、1960~70年代に建てられたマンションの多くは配管設備をコンクリートの躯体に埋め込んでおり、取り替えが困難です。

そのため、配管設備に致命的な問題が起これば建物ごと建て替える必要がありました。

しかしながら、最近のマンションは配管交換が容易な設計が多く採用され、そうした問題は起こりにくくなっています。

 

 ②耐震性の不備

2つ目は耐震性の問題です。現行の「新耐震基準」がスタートしたのは1981年6月で、それ以前の古い建物は震度6〜7の大きな地震を想定していないため、耐震診断と必要に応じて補強工事を行うよう政府は奨励しています。

しかし、マンションの補強工事は大掛かりで工事費用も高額。いっそ壊してしまって、新たに建て直す方が効率的だという発想が生まれ、建て替えとなるケースもあるのです。

 

 ③建物自体の劣化

3つ目は建物の躯体自体の劣化です。劣化の主な原因は、躯体内部の鉄筋が酸化して錆びることにあります。これはコンクリートが時間をかけて中性化し、内部に埋められた鉄筋を錆びさせるために起きる現象です。
またコンクリートの主成分はセメントと水からできており、セメントに対する水の比率を「水セメント比」と言いますが、この比率が基準より高いと時を経てコンクリートが収縮してひび割れなどを起こし、そこから入り込んだ酸素や雨水が原因で鉄筋に錆が生じ、劣化を早めることもあります。
その他、区画整理や再開発のために取り壊しが決まった例や「5階建なのにエレベーターがない」「洗濯機置場がない」など、現在の生活様式に追いついていない古いマンションでは賃貸需要が見込めなくなり「空室が増加して管理費や修繕金を捻出できなくなった結果、取り壊した」というケースもあります。これは言わばマンションの「経済的寿命」です。

このように建て替えや取り壊しの原因は、上記3つのポイントに加えて環境適応能力の低下も原因として挙げられます。

 

まとめ

これまでのことを踏まえるとマンションの寿命はそのマンションが「いつ」できたものなのか、そしてそのマンションをミクロ・マクロの視点で観察した場合の「健康状態」によって決まると言えるでしょう。

住まいについての常識・居住者の住み方は時代と共に移り変わります。入居者のライフスタイルを考慮し、適切な維持管理、修繕、リノベーションを行い、マンションそのものの資産価値を高く保つ努力が、結果的にマンションの寿命を延ばすことにつながります。

マンションも人と同様に定期的な“健康診断”(メンテナンス)が必要であり、オーナーになるということはマンションが健康診断を受ける際の医師の1人(意思決定を促すメンバーの1人)になるのと近しいのかもしれません。