IT重説が売買も可能に!?

2020/10/29

 
コロナウィルスにより、仕事はリモートワークになり、政府も印鑑を電子化しようとする動きをしているように様々なものが急激にリモート化したり、オンライン化してきています。

今回は、不動産業界のオンライン化にフォーカスしIT重説についてご紹介していきたいと思います。

 
 

目次

 

IT重説とは

IT重説とはIT(インターネット通信)と重説(重要事項説明)を掛け合わせたものです。

このIT重説というのは、賃貸はすでに行われていましたが、現在売買もIT重説可能にしようという意向が進められています。
 

重要事項説明とは

「重要事項説明」とは賃貸・売買の契約時に必ず実施するよう法律で定められたもので、現状対面での説明と書面の交付が義務付けられています。

不動産会社で物件を借りる時や購入する時は契約の最終段階に必ず「重要事項説明」を行わなくてはなりません。

「重要事項説明」とは契約の締結前、取引の条件や物件の注意点などについて、宅建士が買い主・売り主に説明するというものです。「重要事項説明」は宅建業法によって定められており、必ず対面して行わなければなりません。

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デジタル化が進む「重要事項説明」

デジタル化が進む状況を受けて重説をオンライン・非対面で行う「IT重説」の実現に向けた動きが進んでおり国交省は10月12日に売買契約でのIT重説本格運用に向けた議論を前に進める方針を打ち出しました。

パソコンやタブレットなどを通じてオンラインで重要事項説明を行う「IT重説」

賃貸取引ではすでに始まっていたものの、売買取引は説明時間が長いことや、内容が多岐にわたることが理由で導入が実現していませんでした。

しかし昨年の10月より1年間、国交省の主導によって売買取引における社会実験を行ったところ大きなトラブルなどの報告はなく一定の成果が上がったそうです。

国交省担当者は「順調に進めば、年度内にはオンライン化に向けた方針の発表が可能となる」とのこと。

重説の方法を規定しているのは宅建業法なのでIT重説の解禁にあたっては、その改正が必要になり、これには法務省との話し合いなど、各省庁との検討が必要と言われています。
 

IT重説は好評

実験に参加した不動産会社は、IT重説の使い勝手や課題について下記のように述べました。「地方のお客様との取引が効率良くできるようになりました。移動せずに各地の不動産を取引することができるためです」

顧客からも「自宅なのでリラックスできる」「コロナの感染予防になるのでありがたい」など、肯定的な意見が多かったようです。

図1

※対象者は、過去に不動産取引において対面の重説を受けたことがある91名

(出所:国土交通省『個人を含む売買取引おけるITを活用した重要事項説明に係る社会実験(実施経過報告)

 

また、IT重説と対面重説の理解度比較した結果、IT重説の方が良い印象を持っている人、どちらも差が無いと答えた人の割合が約8割となりました。
 

IT重説のデメリット

一方で非対面の懸念点も。例えば、重説の最中に購入者から細かな質問を受けた場合に対面であればその場で書面を見せるなどして対応できるが、IT重説だとそういったフォローに時間がかかったり資料の郵送が増えることで、業者が負担する郵送料が増え郵送事故で書類が届かなかったりといったリスクが出てくるといった懸念が言われています。
 

IT重説の今後

また、今後の利用意向については利用したいという割合が6割。
利用したくないという人の割合はわずか2割程度という結果となりました。
 

図

 

※今後の利用意向については、125人のうち60.8%が「利用したい」と回答した(出所:国土交通省『個人を含む売買取引おけるITを活用した重要事項説明に係る社会実験(実施経過報告)

このような時代の流れから、今後IT 重説が売買時も当たり前になる時代が来るのはそう遠くなさそうですよね。

便利な点も不便な点もぞれぞれの側面がありますが、政府の意向やコロナウィルスの影響もあり、今後IT重説以外にも不動産業界がIT化されていくことが予想されます。このような時代の流れから、今後IT重説が売買時も当たり前になる時代が来るのはそう遠くなさそうですよね。

参考
国交省が売買IT重説にGOサイン、不動産取引もDXが進む —楽待記事より
国交省、不動産売買での重要事項説明、非対面でも認める方針 ―健美家記事より